「暫定復活」ジャズ&クラシック・レコメンド -4ページ目

キューン~ラファロ1960


面白そうなアルバムを友人から紹介してもらいました。


ラファロ

このアルバム、凄い魅力的ですね。
曲目もメンバーも。
このメンバーでの「So What」「Bohemia After Dark」面白そうです。
だいたいこのメンツで、スタジオ録音が残され、なぜ今まで発売されなかったのか不思議です。
マフィアのドン・コルレオーネがキューンの薬代のカタに持っていたのか??。ウソ。

キューンとラロカと言えばすぐに思い出すのがラロカ唯一のBNリーダー作、「バスラ」。

ラロカ

「マラゲーニャ」とアルバムタイトル曲では、ジョー・ヘンのサックスがバリバリ言ってるところに、
ラロカのドラムが俊敏に反応、キューンは時には静々と時にはハチャメチャに絡むところが、いい!。
だけど60年の録音だから、キューンはフリーがかっていないだろうから、もっと「トリオ」として
聴きやすいかもね。


キューン
キューン&ラロカの作品では66年の「スリー・ウェイブス」がお勧め。
このアルバムの欠点はスティーブ・スワローのベースがイマイチ食いつきが足りないところですが、
あのラファロだからどうなっているのか!!。
触手を伸ばしたいところですね。

山下達郎 待望の新譜!「ソノリテ」。

 何かと忙しかったここ一ヶ月、自分へのご褒美として楽しみにしていたのが、山下達郎の新譜である。



達郎新譜


これは、今聞いた時点で異色のアルバムである。いつものような凝りに凝ったアレンジや分厚い一人コーラスがなかなか姿を見せない。音自体も、乾いている。不要なエコーやディレイはかけていないようだ。それだけに達郎が目指した質感、響き(ソノリテ)が一際強調されている。

一曲目は、いつものアルバムだと、期待をいい意味で裏切るというかはっとさせられるようなはじけたアップテンポの曲だが、このアルバムは全然、売れていなかったころの達郎のアルバムのA面3曲目のような風情の、何気ない、だけど何度か聞き込むと味のある曲。まだ聞いていない方のためにネタバレは防ぎたいが、ヒップホップ、70年代フレンチポップス風の曲(奥様作詞)、スカ、など様々要素を取り入れ、今の達郎が触手を伸ばしている音楽への造詣の深さがうかがえる。

リアルタイムで聞いてきたファンと共に達郎も成熟し、このような形で結実したのであろうか。

どれも良い。トータルして良い。恐らく定番として聞かれるアルバムとなるであろう。


個人的にお勧めはTRACK5:「ラッキー・ガールに花束を」。「達郎とは?」と言う質問への率直な答えはこの一曲に集約されている。



1.MIDAS TOUCH
2.KISS
からはじまるミステリー [feat. RYO(from ケツメイシ)]
3.FOREVER MINE
4.
忘れないで
5.
風がくれたプロペラ
6.
ラッキー・ガールに花束を
7.SECRET LOVER

8.フェニックス (2005 REMIX)
9.LIGHTNING BOY
10.
白いアンブレラ
11.
太陽のえくぼ (ALBUM REMIX)
12.2000
トンの雨 (2000t of Rain)(2003 NEW VOCAL REMIX)
13.WHEN YOU WISH UPON A STAR
~星に願いを~






チャイコフスキー:交響曲第4番:バーンスタイン~NYP(89年)

■チャイコフスキー:交響曲第4番:バーンスタイン~NYP

tchaiko


 これはバーンスタインがニューヨーク・フィルハーモニック(以下NYP)と1989年、ちょうど死の一年前に録音したもの。60年代のSONYのものとはかなり様相が異なる。と言うか、この録音はこれまでの彼の全ての録音と様子が違う。この前に彼は5番、6番と録音し、一年半ほどのブランクの後、この4番を録音したようだ。5番、6番はかなり評価が高いが、これは評価されていない。

 まず全体として、死の臭いが漂っている。冒頭のファンファーレから、もう絶望的だ。テンポも信じられないくらい遅い。だが、実際のタイムを見るまで遅さを感じさせない不思議な世界。他の指揮者の録音と比べると、1楽章が4分、2楽章が2分、遅い。遅いが非常に丹念に一音一音を紡ぎだし、徐々にヒートアップさせるので、逆に遅さの中の速さというかそういうものを感じる。ある意味スリリングだ。

 一度聴いただけではこの演奏の素晴らしさは分からない。往年のバーンスタイン&NYPの丁々発止とした演奏を想像して聴くと肩透かしを食らう。この演奏はバーンスタインが、その決して平坦とは言えない人生を音楽に捧げ、自己を破滅させてまで突き進んだ結果の壮絶な世界なのだ。他のバーンスタインのそれのようにフィナーレで浮かれることもない。静かに燃え上がり、堂々と曲を閉じる。もう先が見えてきた自分、もうこの曲を演奏しないかも知れないと悟った自分、それがこの異様な演奏を生み出したのだろう。単に老いぼれた巨匠が遅々と演奏しているのではない。しっかりと死を見つめたバーンスタインの出した結論と言うか諦観の念を、この演奏から読み取ることができる。

 この曲のいわゆるスタンダード的な、スヴェトラーノフやカラヤンの演奏も好きだ。また60年代のレニー自身の演奏も。だがこの異色とも言える演奏は、これが正しいと受け付けると、他の演奏を跳ね返すだけの説得力を持っている。

 エイブリーフィッシャー・ホールの飾り気のない古典的な響きも良い。

バリー・ハリス/プレミナード/リヴァーサイド

 バリー・ハリスと言えば「ジャズ・ワークショップ」がパブロフの犬状態でオススメだが、へそ曲がりのわたしは「プレミナード」(1961年録音)を紹介する。



 harris

 

1.マイ・ハート・ストゥッド・スティル
2.
プレミナード
3.
アイ・シュッド・ケア
4.
ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー
5.
ワン・ダウン
6.
イッツ・ザ・トーク・オブ・ザ・タウン
7プレイ,キャロル・プレイ
8.恋とは何でしょう

 サイドメンはエルヴィン・ジョーンズとジョー・ベンジャミン。このメンツを見て、即購入を決めていただきたい。まずこのピアニストは派手さがないと言うか、このジャケットのとおり暗めというか、どうも掴みどころがない。だがそこを何度か聴いて「掴む」と、虜になってしまうほどの魅力を持っている。地味だけど滋味に富むプレイは万人向きではないかも知れないが、非常に魅力的だ。

 最初、ふざけたメロディだなと思っていた「プレミナード」が断然良くなってきた。エルヴィンのドラムが要所を締めているが、トミフラの「オーヴァーシーズ」ほど出しゃばっていないところが良い。

 一番のお勧めは4曲目の「ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー」はエルヴィンのごくごく自然なブラッシュに、ちょうど「プリース・リクエスト」のレイ・ブラウンのような感じでジョー・ベンジャミンが寄り添う。この曲でハリスは、難しいブロックコードなど使わず、シングルトーンでよく歌う。ちょっとクールで控えめなバド・パウエルという感じである。彼(ら)のセンスの良い演奏によってB級歌謡が、わくわくするようなA級スタンダードに生まれ変わった。

 残念なのはマスターテープの状態が良くないこと。「プレミナード」ではドロップアウトが顕著である。また編集もおかしいところがある。お気に入りの「ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー」はフェイド・アウトしなくても良いエンディングなのにフェイドアウトする。やはりマスターに問題があったのかも知れない。まあ演奏の素晴らしさで音の悪さはすぐにかき消されてしまうが。

 「プレイ,キャロル・プレイ」のエルヴィンの超絶技巧、特に4小節交換にも聞き耳を。ドラムが叩けてうれしくてたまらないという感じだ。

個人的主観による星の数(5つ星で満点、☆は0、5点)。

★★★★


ユタ・ヒップ・アット・ヒッコリーハウス/BN1515

ユタ・ヒップ・アット・ヒッコリーハウス/BN1515

まずこのジャケットをご覧いただきたい。


hipp


お化け屋敷のごとき(?)涼しげなジャケット。


1.イントロダクション・バイ・レナード・フェザー
2.
テイク・ミー・イン・ユア・アームズ
3.
ディア・オールド・ストックホルム
4.
ビリーズ・バウンス
5.
四月の思い出
6.
レディ・バード

7.マッド・アバウト・ザ・ボーイ
8.浮気はやめて

9.ジーズ・フーリッシュ・シングス
10.
ジーパーズ・クリーパーズ
11.
ザ・ムーン・ワズ・イエロー


 サイドメンはエド・シグペンとピーター・インド。ライブの行なわれたヒッコリー・ハウスは今でもおいしいステーキが食べられるお店として現存する。評論家のレナード・フェザーとBNのアルフレッド・ライオンの肝いりで、ドイツからNYに渡ってきたが数枚のアルバムをBNに残し、シーンから姿を消した。アルバムはレナード・フェザーのMCで始まるが、ジャズアルバムのMCはどうしてこんなにかっこよく聴こえるのか。「お城のエヴァンス」、「カフェボヘミアのケニードーハム」、「ファイブスポットのケニー・バレル」などしかり。曲が始まる前からいい音が聴こえてくると確信する。MCに続いて登場の「テイク・ミー・イン・ユア・アームズ」がいい。シグペンの微笑ましいリードの元、ヒップは中音域に音を集めた、結構スリリングなソロを展開する。この曲から伺えるのは、彼女のアイドルがトリスターノとホレス・シルバーだということ。トリスターノを身にまといながら、フレーズは結構シルバー張りに熱いという感じである。

 彼女のルーツを感じさせるのは「ディア・オールド・ストックホルム」。この北欧の名曲を淡々と切々と歌う。ピアノの個性を生かす女性らしい演奏に好感を持てる。

 一番のお勧めは「浮気はやめて」。本来はキビシイ内容の歌詞らしいが、この演奏はリラックスそのもの。こんな口調で女性に歌ってもらえたら浮気どころでなくなるであろう。

 全体として激動のバップを彼女なりに消化した、音の一つ一つに心のこもった名アルバムである。

 もし彼女があと数年演奏してくれたら、ビル・エヴァンスに触発され、もっと個性的な世界を垣間見せてくれたに違いない。

 ヴァン・ゲルダーがヒッコエリー・ハウスに機材を持ち込んで録音したらしいが1956年当時としては信じられないリアルな音である。

 なお、この56年の活動後、帰国したと思われていた彼女は実は、無国籍のままロングアイランドに住み、アルバイトをしながら絵画を書いて個展を開いたりしていたそう。また、クラブに居合わせたアート・ブレイキーと共演したが、ステージ上でいじめられたりもしたそうである。このあたりは1994年7月号の「スイング・ジャーナル」に詳しい。何と当時、元気なおばあちゃまとして発見され、記事になったのだ。


 個人的主観による星の数(5つ星で満点、☆は0、5点)。

 ★★★★