バリー・ハリス/プレミナード/リヴァーサイド
バリー・ハリスと言えば「ジャズ・ワークショップ」がパブロフの犬状態でオススメだが、へそ曲がりのわたしは「プレミナード」(1961年録音)を紹介する。
1.マイ・ハート・ストゥッド・スティル
2.プレミナード
3.アイ・シュッド・ケア
4.ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー
5.ワン・ダウン
6.イッツ・ザ・トーク・オブ・ザ・タウン
7プレイ,キャロル・プレイ
8.恋とは何でしょう
サイドメンはエルヴィン・ジョーンズとジョー・ベンジャミン。このメンツを見て、即購入を決めていただきたい。まずこのピアニストは派手さがないと言うか、このジャケットのとおり暗めというか、どうも掴みどころがない。だがそこを何度か聴いて「掴む」と、虜になってしまうほどの魅力を持っている。地味だけど滋味に富むプレイは万人向きではないかも知れないが、非常に魅力的だ。
最初、ふざけたメロディだなと思っていた「プレミナード」が断然良くなってきた。エルヴィンのドラムが要所を締めているが、トミフラの「オーヴァーシーズ」ほど出しゃばっていないところが良い。
一番のお勧めは4曲目の「ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー」はエルヴィンのごくごく自然なブラッシュに、ちょうど「プリース・リクエスト」のレイ・ブラウンのような感じでジョー・ベンジャミンが寄り添う。この曲でハリスは、難しいブロックコードなど使わず、シングルトーンでよく歌う。ちょっとクールで控えめなバド・パウエルという感じである。彼(ら)のセンスの良い演奏によってB級歌謡が、わくわくするようなA級スタンダードに生まれ変わった。
残念なのはマスターテープの状態が良くないこと。「プレミナード」ではドロップアウトが顕著である。また編集もおかしいところがある。お気に入りの「ゼアズ・ノー・ワン・バット・ユー」はフェイド・アウトしなくても良いエンディングなのにフェイドアウトする。やはりマスターに問題があったのかも知れない。まあ演奏の素晴らしさで音の悪さはすぐにかき消されてしまうが。
「プレイ,キャロル・プレイ」のエルヴィンの超絶技巧、特に4小節交換にも聞き耳を。ドラムが叩けてうれしくてたまらないという感じだ。
個人的主観による星の数(5つ星で満点、☆は0、5点)。
★★★★