ジョン・コルトレーン/バラード(デラックス・エディション)
「真面目で愚直」。わたしはコルトレーンのことをこのように思っています。
ですが世の中、流暢でカッコイイ人ばかりが魅力があるわけではありません。
真面目で愚直な人が一生懸命やっている姿に心打たれたりしますね。
コルトレーンの「バラード」を聴くたび、そんなことを思います。
「僕はこれだけは絶対に伝えたい!!」みたいな迫力を感じます。
本編の感想、解説は出尽くしていますのでやめましょう。
この作品はコルトレーンの楽器の調子が悪く、やむを得ずバラード集になったような
うそ臭い?ストーリーが言われていますが、この「デラックス・エディション」の発売で
やっぱりアグレッシブだったのね、ということになりました。
つまりハイテンポ、ハイトーンの曲が吹けなかったのはウソ?というわけです。
輸入盤を購入したのでよく分かりませんが、どこぞの大学に研究資料として贈呈されていた
未発表テイクが14曲も盛り込まれています。
バラードとは絶対に言えない「グリーン・スリーブス」(5テイク)が白眉です。
イントロを聴いて「あれ?どこかで聴いたことが・・・」そう、「マイ・フェイバリット・シングス」にそっくりです。
コルトレーンの歌い出し、マッコイ・タイナーの間奏とソロも似ている。だけど名曲名演だから許せます。
それにしても同じ曲に5テイクもかけ、しかもどれも違うスタンスで臨んでいるところなどさすがです。