THE RAY DRAPER QUINTET FEAUTURING JOHN COLTRANE | 「暫定復活」ジャズ&クラシック・レコメンド

THE RAY DRAPER QUINTET FEAUTURING JOHN COLTRANE

 恥ずかしながらこの歳になるまでコルトレーンが分からなかった。何を考えているか分からず、音楽的な共感もない。アルトのような音質、多すぎる音数、情緒のない線律、いずれも好みではなかった。大方がよしとするBNの「ブルートレイン」や「バラード」もいけなかった。求道的な人の生真面目さが鼻につき、どうもよろしくないのだ。

 さて本アルバム:THE RAY DRAPER QUINTET FEAUTURING JOHN COLTRANEである。このCDは「パリの空」1曲のためのアルバムである。他の曲はドレイパーの、「死に際の種豚の独り言」のようなソロを我慢して聞いていられない。しかし、札幌HMVのCD餌箱に780円で売られていたこのアルバムだが愛聴曲に引かれて購入してしまった。果たせるかな最高の聴き所が「パリの空」があった。わたしの愛聴するのはバルネ・ウィランの「フレンチ・バラッズ」の同曲だが、これの良いところは、ベースで始まるラテン系のリズムの鼓舞されるバルネのダンデイーなソロである。さて本題だが、この曲だけできちんとリハーサルが行なわれ、アレンジもきちんと決められたようである。まず。トレーンが無骨にテーマを吹き、ドレイパーが邪魔にならないようにユニゾンで流す。コルトレーンはテーマの無骨さを打ち消すようにシーツ・オブ・サウンドで軽快にソロを流す。また無骨なテーマで曲は締めくくられる。バルネのアレンジの源流がこの演奏にあることを知った。ベースライン、ドラムのショットも酷似している。ソロがトレーンになると他のサイドメンも突然目ざめ、張り切りだすのもジャズの面白いところだ。

 CDナンバーはOJCCD-986-2。OJCの以前のCDは音質が薄く、脱脂綿で拭いたようなサウンドだったが、かなりジャズ向きに中音が充実し改善されている。高音、特にシンバルにもう少しヴァンゲルダーサウンドらしいガッツと繊細さを加えて欲しいが、まあ聴くに耐えるサウンドに向上してきている。

 

個人的主観による星の数(5つ星で満点、☆は0、5点)。

★★★☆

レイ・ドレイパー/クインテット